疲れからか不幸にも
倉庫の中での作業中、うっかり入口のドアを勢いよく閉めてしまいました。
「うんとこしょ、どっこいしょ」
いくら押しても開きません。
「一人じゃ無理でも二人なら?」
眼鏡が似合う脳内彼女が言いました。手と手を取り合って、一緒にドアを押します。
「うんとこしょ、どっこいしょ」
それでもドアは開きません。
「お前を一人にさせるかよ!」
仮面の男はそう言いながら現れ、ちぇいあ、とドアに蹴りを入れました。
「えい、えい」
便乗して僕も蹴りを入れましたが、ドアはうんともすんとも言いません。
はてさてどうしたものか。三つの頭で考えていると、突然、ガチャという音とともにドアが目の前に迫って来ました。避けきれず、頭に強い衝撃。
「えっなに今の音」
目の前で星がキラキラする中、そんな後輩の声を聞き、自分がとても単純な勘違いをしていたことに気づきました。